シャンパーニュは最も有名なスパークリングワイン 〜 シャンパーニュのありがたみの裏にはブランド保護に対するフランス人の弛まぬ努力があった
スマートフォン用サイト
バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

昨日に続き、今日もスパークリングワインとシャンパーニュのお話です。

ヨーロッパでもアメリカでも、「スパークリングワイン」が発泡性ワインの公式な呼び方です。

その中で「シャンパーニュ」は最も有名なスパークリングワインということになります。
最も知られているワインだと言っても過言ではないかもしれません。

シャンパーニュは、定められたブドウ品種のみを使って、定められた方法を用いて、シャンパーニュ地方というフランスの定められた地域のみで造られる、特別なスパークリングワインなのです。

don_perignon2003
 ▲シャンパーニュの中でも最も有名な「ドン・ペリニョン」

シャンパーニュがあまりにも特別で有名な名前であるため、
一般消費者がスパークリングワインを何でもシャンパンと呼んでしまうばかりか、
他の地域の生産者までが、自分たちの製品にシャンパーニュという名前を意図的に使ったりします。

そのため、「シャンパーニュ」という言葉があたかもスパークリングワインというもの全体を指すかのような誤解が広く生じてしまっています。

これは、フランスのシャンパーニュ地方の人たちにとっては悩みの種(・・・というか怒りの対象)となっています。

たとえばアメリカでは、「シャブリ」「シャンパーニュ」などワイン産地名として広く認知されている呼称が安ワインに使用されているケースがあります。

実はつい近年までアメリカの生産者は、人工的に炭酸を付加したものでない限り、あらゆるスパークリングワインを champagne と呼ぶことが合法的に許されていたのです。

E.U.はかねてからこのことを問題視しており、改善を求めて2006年にアメリカと通商協定を結びました。
しかしアメリカ側の根強い抵抗もあって、
champagne という名称の使用については多少の改善は見られるものの、抜本的な解決には至っていません。

ちなみに日本の「シャンメリー」という飲料も、かつては「ソフトシャンパン」という名称で売られていましたが、フランスから指摘を受けて商標が変更されたそうです。

フランス側にとっては、シャンパーニュという呼称の使用をシャンパーニュ地方のワインのみに限定することは重大な関心事となっています。

E.U.域外から来たスパークリングワインのラベルにたった1語 champagne と書かれているだけでも、E.U.内に輸入することはできません。 

E.U.内のフランス以外の国々に対しても、スパークリングワインをシャンパーニュと呼ぶことはおろか、シャンパーニュを想起させる文言を使うことさえ禁じています。
たとえば、ラベルに「このワインはシャンパーニュ製法で造られています」と印字するのもダメです。

これほどまでにフランス人は、シャンパーニュというものに対して真剣なのです。

ただ、ぼくたちシャンパーニュ好きの消費者にしてみれば、こうしたフランス人の姿勢はむしろ歓迎すべきことかもしれません。
ラベルにシャンパーニュと書かれた、ただのスパークリングワインを手にしてしまうリスクが格段に減るわけですからね。

このような話を聞くと、シャンパーニュに対する敬意やありがたみも増してきますね
・・・なんて言っているぼくは、もしかしたらシャンパーニュ生産者やフランス政府のマーケティング戦略にまんまと乗せられているだけだったりして?(笑)

(2017年4月26日)