ワインについて良くない話をするのは今日だけにしておきましょう 〜 酸化、熱劣化、ブショネ・・・イヤなヤツに出遭ったらすぐに気持ちを切り替えて、ほかの良いヤツ探しましょう!
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

前回まで2回にわたって「良いワイン」の特徴について述べてきました。

フシギなもので、自分が好きなワインを「良いワイン」だという権利?はあっても、
自分が好きじゃないからという理由だけで「良くないワイン」よばわりするのは、あまり良しとされていません。

この場合は自分だけの基準を作るにとどめ、それを他人に押し付けたりしないように気をつけましょう。

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 ▲コルクはつねにブショネのリスクと背中合わせ


20年くらい前に比べれば、現在は「良くないワイン」は世の中にほとんど存在しません。
いまぼくらが「良くないワイン」と呼ぶもののほとんどは、
実際には「良くないワイン」というより「良くないボトル」のワインです。

もともとは良いワイン(すくなくとも普通のワイン)なのだが、
たまたまそのボトルの取扱いが悪くて瓶内のワインがダメになってしまったものです。
要するに状態の劣化したワインということです。

「良いワイン」に広く認められた特徴があるのと同じく、誰もが認める「良くないボトル」の特徴がいくつかあります。


●お酢のようになったワイン

自然の摂理として考えれば、ワインというものはブドウ果汁がブドウ酢になっていく過程の途中段階にある状態だといえます。

現代のワインは、テクノロジーと細心の注意を払った醸造のおかげで、ずっとワインの段階にとどまっていることができます。

でも、ごくまれに何かの間違いで、お酢へと進む一線を越えてしまったボトルがあります。
それは「良くないボトル」のワインです。


●化学的/細菌的な悪臭を伴うワイン

ごくまれに出合うイヤな臭いとして、マニュキュア除光液を想起させる臭いがあります。
醸造酒に含まれるアセトンという不純物が原因で生じる臭いです。

あと、硫黄のような臭いを強烈に持ったワインに出合うこともあります。
腐った卵、腐ったにんにく、燃やしたゴムのような臭いです。
温泉地に行くと感じる香りを強烈にしたような臭いといえば想像がつくでしょうか。

ワインにこうした臭いが強くあれば、それは「良くないボトル」です。


●酸化したワイン

ワインの香りも風味も、平板で弱々しくなってしまったものです。

もともとは良いワインだったのかもしれませんが、空気(つまり酸素)が何らかの理由で瓶内に入ってしまい、ワインが酸化してヘタってしまったものです。

これは「良くないボトル」です。


●熱劣化したワイン

ワインが暑い場所や温度の高いところで輸送されたり保管されたりすると、焼けたような風味になってしまいます。
たとえて言えば、シェリー酒や紹興酒のような香り・味わいになります。

熱劣化したワインは、たいていコルクの間から液漏れしていたり、瓶内から
コルクがすこし押し上げられて出っ張ったような形状になっているのでわかります。

こうしたものは「良くないボトル」です。

熱劣化の困るところは、あるボトルがそうだと、同じロットで輸送や保管されていた他のボトルも同様に熱劣化している可能性が高いということです。。


●コルク臭(ブショネ)

最も出合う確率の高い不良ボトルがブショネです。
ブショネは、カビ臭い湿ったダンボールのような臭いです。

ブショネは、コルクの傷み・劣化が原因で起こります。
そうして劣化したコルクに発生した悪臭が、瓶内でワイン自体に移ってしまい、ワイン本来の風味も劣化してしまいます。

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コルク栓を使ったワインボトルには常にブショネのリスクがあり
経験的に言うと100本に1〜2本くらいの率で遭遇します。

ブショネは無論、「良くないボトル」です。

ワインについて「良くない」お話をするのは、このくらいにしておきましょう。
あなたがもしも「良くないワイン」や「良くないボトル」と出合ったら、「いい経験になった」くらいの気持ちにとどめて、ほかの「良いワイン」に移ればよいのです。

自分が本当に好きだと思えるワインに出合うこと、それがワインを一生の友とする楽しみなのですから!

(2017年5月2日)