メルローはタンニンまろやか、性格がソフトで丸みがあってファンも多い 〜 ボルドーでは天候リスク分散のため他の品種とブレンドされます
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

前回から赤ワインを造る黒ブドウについて書いています。
世界中で栽培されている、国際的な黒ブドウ品種の2つめはメルローです。


◆メルロー◆

メルローから造られるワインは色が濃くフルボディで、アルコール度数が高めで、タンニンがまろやかという特徴があります。

カベルネ・ソーヴィニヨン同様、カシス、ブラックベリー、ブラックチェリーといった果皮が黒系の果実やプラムのような香りと風味があります。
ときにチョコレートのような風味を伴うものがあり、熟成させると紅茶の葉のようなニュアンスも出てきます。

メルローはカベルネ・ソーヴィニヨンに比べて口当たりがふっくらと柔らかく、果実味中心の、丸みを帯びた印象のワインとなります。

メルローはカベルネ・ソーヴィニヨンに比べてタンニンが柔和なので、カベルネ・ソーヴィニヨンよりもメルローのほうが飲みやすくて好きだという人も結構います。

メルローは、日常的な価格帯のシンプルなワインにもなりますし、しっかりとした条件のもとで栽培、醸造されれば、ものすごい高級ワインにもなります。

メルローはフランスのボルドー地方が本拠地ですが、イタリア北部、カリフォルニア、チリなどでも重要な品種です。

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 ▲ボルドー右岸サンテミリヨン地区の「シャトー・カノン・ラ・ガフリエール」1988年はメルロー主体で柔らかく複雑な味わい


メルローは、フランスボルドー地方では最も多く植えられているブドウです。

ボルドー地方の生産者は、メルロー単体でワインを造るよりも、カベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランなどとブレンドすることが多いです。

ボルドー地方を大西洋に向って流れるジロンド河の左岸のことを、一般に「ボルドー左岸」または単に「左岸」と呼びます。
同様にジロンド河〜ドルドーニュ河の右岸のことを一般に「ボルドー右岸」とか単に「右岸」と呼びます。

左岸にはメドック地区やぺサックレオニャン地区などがあり、
右岸にはポムロール地区やサンテミリヨン地区などがあります。

左岸は土壌が砂利地質で、海から近いので温暖な気候となります。
砂利質というのは水はけがよく、また温暖な気候であることから、左岸はカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適しています。

右岸は土壌が粘土地質の比率が高く、海から遠く標高も高いので、左岸よりも冷涼な気候となります。
粘土地質は保水性がよく、メルローに向いているとされています。

したがって、ボルドー左岸ではカベルネ・ソーヴィニヨンが主体なのに対し、ボルドー右岸ではメルローが主体となります。

ところで、ボルドーでカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローをブレンドするのはなぜでしょうか。

その理由を一言でいうと、「天候リスクの分散」です。

その年の雨や気温などの天候状況によって、ブドウ品種によって出来が良かったり悪かったりします。
たとえばブルゴーニュ地方は単一品種でワインを造るので、天候の良くない年のワインの出来はいわば全滅となります。

いっぽうボルドーでは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローにリスクが分散できます。
具体的には、仮にある年のカベルネ・ソーヴィニヨンの出来が良くなかったら、メルロー比率を高めてワインを造るのです。

どちらかというと晩熟型のカベルネ・ソーヴィニヨンと早熟型のメルローは収穫時期も異なるので、リスクの分散がしやすいのです。

ちなみにボルドーでは、ブドウを混ぜてワインを造るのではなく、それぞれのブドウで造ったワインを混ぜてブレンドします。

ボルドー地方はワイン生産量も多いですから、毎年安定して生産するのも大変です。
単一品種ではなく複数のブドウ品種をブレンドするのは、「リスク分散」というボルドー生産者の知恵だったのですね。

(2017年5月14日)