テロワールとは、その畑だけが持つ唯一無二の自然的諸条件の組み合わせ 〜 これこそが「ワインにはブドウ畑の場所の名前をつけるべき」というヨーロッパの根底にあるコンセプトです
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

テロワール terroir はフランス語で、日本語や英語に直訳できる言葉はありません。
そのためワインに携わる人は、べつにカッコつけではなく、便宜的にこのフランス語をそのまま使っています。

テロワールという用語に厳密な定義はありません。
そのため、みんな自分とって都合の良い文脈で、広くも狭くも解釈する傾向があります。

ただし、やはりテロワールはひとつの確立されたコンセプトであり、
科学的に厳密な定義はないにしても、ある程度は "正しい" 解釈が存在します。

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 ▲イタリア・ピエモンテ州のブドウ畑


テロワールという語を単語としてみれば、フランス語の terre すなわち「土」という語に由来しています。
そのため、人によってはテロワールを単純に「土壌」という狭い意味で使っています。

しかしテロワールは、本当はたんなる「土壌」よりももっと複雑な意味合いを含んだ言葉です。

テロワールは、変えることのできない自然の要素・・・表土、底土、気候(気温、日照量、降水量、風など)、傾斜、標高など、それぞれのブドウ畑が宿命的に持っている諸条件の総合的な組み合わせを意味しているのです。

あるブドウ畑と、こうした自然的諸条件の組み合わせが完全に一致するブドウ畑は、世界中どこを探してもありません。

ですから、テロワールをあえてぼくなりに定義するとすれば、
「その畑だけが持つ、唯一無二の自然的諸条件の組み合わせ」
ということになります。

テロワールこそ、

「ワインにはそのブドウが育った場所の名前をつけるべき」

というヨーロッパの考え方の根底にあるコンセプトです。

「場所こそが、ブドウの持つ特質に決定的な影響を与える」

したがって、

「場所の名前は、そこで造られるワインのブドウ品種は何かを物語っている」

という考え方です。

(現実にヨーロッパのワイン生産国では、場所ごとに使用可能なブドウ品種が法律や規則で定められています。)

ですから、ワイン造りの歴史と伝統が長いヨーロッパでは、

「最も正確なワイン名のつけ方は、そのブドウが育った場所の名前をつけることだ。その場所の名前が、そこにしかないテロワールを示しているから」

ということになるのです。

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(2017年5月26日)