ヨーロッパ以外のワインのラベルにも場所の名前は書かれていますが、広すぎてあまり意味がないことも多い・・・カリフォルニアの面積はイタリア全土より3割も大きいのです
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

これまで述べてきたように、ヨーロッパのワインはブドウ品種の名前ではなく場所・土地の名前を名乗るわけですが、この考え方はヨーロッパの国々の専売特許というわけでもありません。

ヨーロッパ以外のワインのラベルにも、そのワインがどこから来たのか、場所の名前はたいてい書かれているものです。
しかし、ヨーロッパワインと非ヨーロッパワインでは、場所の名前の書き方に少し違いがあります。

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 ▲産地名 CALIFORNIA の面積はイタリア全土より3割も大きい


第一に、アメリカ、オーストラリア、チリ、南アフリカなど新世界諸国のワインの場合、ラベルの中に場所の名前を発見するのが難しいときがあります。
場所の名前がドカンと書かれている場合もありますが、目立たない場合もあるからです。

それが場所の名前なのか生産者の名前なのか、混乱するときもあります。
ヨーロッパのワインと違って、そもそもブドウの育った場所がワインの名前になっておらず、
やはりブドウ品種名のほうが前面に出ているのです。

第二に、こうした新世界諸国の場所名が示す意味は、ヨーロッパ諸国ほど内容のあるものではありません。

たとえば、あるワインのラベルにナパ・ヴァレー Napa Valley と書かれているとします。
あなたがナパ・ヴァレーに行ったことがあったとしたら、ナパ・ヴァレーという名前は、あなたにとっては何か意味のあるものでしょう。

しかし法律的にみれば、ナパ・ヴァレーという名前は「このワインの原料ブドウのうち少なくとも85パーセントはナパ・ヴァレーというエリアのものだ」という程度の意味合いしかありません。

つまりヨーロッパワインの場所名が意味するものとは異なり、ナパ・ヴァレーという名前は産地の範囲を定義するのみで、ワインのタイプやブドウ品種、栽培・醸造に関して何ら規定がないのです。

ヨーロッパ以外のワインのラベルに書かれる場所名は、ある意味、「テロワール」という考え方に見かけだけの敬意を払っているだけだと言ったら言いすぎでしょうか。。

事実、ヨーロッパ以外の国のワイン産地名というものは、ヨーロッパの法が定める産地名とは比較にならないほど、それこそ信じられないくらいに広かったりします。

ヨーロッパのワイン生産者が、産地名「カリフォルニア」と書かれたワインラベルを見たときどう感じるだろうか、と考えると、笑えない気持ちになります。。

これを愚直に読み取れば、「このワインはイタリア全土の面積よりも30%広い、限定エリアの中で造られたワインです」っていうことになりますから。
(カリフォルニア州の面積はイタリア全土の面積より3割大きい。ちなみにイタリア国内には300以上のワイン産地が細かく定められている。)

ですから場所名が「カリフォルニア」とだけ書かれていても、そのブドウがどの土地で育てられたのかについて何も語ってないに等しいでしょう。

カリフォルニアは広大なエリアです。
このワインのブドウはカリフォルニアから来ましたと言われても、「よくわからないけど、あのアメリカ西海岸のどこかから来たんだろーなー」くらいしかわかりません。

オーストラリアワインによくある South Eastern Australia (南東オーストラリア)というラベル表記も同じことです。この場所名を名乗る産地は、フランスとスペインの2ヶ国を合わせた面積に匹敵する広さですからね。

こうしてみると、ヨーロッパのワイン造りの伝統の厚さを実感します。
テロワールに対するヨーロッパの人々の思いは、並大抵のものではないのですね。

(2017年5月27日)