シュール・リーはミュスカデや甲州、MLFは赤ワインやシャルドネの高級白ワインに多く使われるワイン醸造テクニック 〜 風味を引き出したり酸味を抑制したり様々な工夫があります
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワイン醸造に関するテクニック、今日は「シュール・リー」と「マロラクティック発酵MLF)」をご紹介します。
どちらもワインライフを送っていると、わりと耳にすることの多い用語です。


◆シュール・リー Sur Lie

Lie(英語では Lee)とは、アルコール発酵後にタンクなどの容器の底に下りてくる、酵母の死骸等の沈殿物のことです。
いわゆるオリ
澱、滓)です。

こうして沈殿したオリはワインと接触するうちに、より複雑な風味を生み出すことがあります。
そのため生産者によっては、ときどきワインの入ったタンクの中のオリをかき混ぜたりします。

白ワインでは、アルコール発酵後もオリ引きを行わず、
そのまま発酵槽の中に放置して、沈殿したオリの上でワインを半年程度接触させておくことがあります。

これをシュール・リーといい、オリ由来の風味をワインに取り込むのが目的です。

フランス・ロワール地方のミュスカデが代表例で、日本の甲州でもよく行なわれている方法です。

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 ▲シュール・リーされている甲州のワイン


◆マロラクティック発酵 Malolactic Fermentation

マロラクティック発酵は一般にMLFと呼ばれており、ワインの酸味を緩和して口当たりをまろやかにするために行なう二次的な発酵のことをいいます。

MLFは乳酸菌の働きで、リンゴ酸(酸っぱい酸)をまろやかな酸(乳酸)に変える発酵です。

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MLFは自然にも起こりますが、ワインの生産者はこれを人為的に行なったり、逆に防いだりするようコントロールしています。

MLFには、

〇戚がやわらかくなる
風味が複雑になる

という2つの効果があります。

赤ワインでは、ほぼ必ずMLFを行ないます。

白ワインの場合は、ワインによります。
MLFには白ワインにバターのような複雑な風味を与える一方、はつらつとした果実味を低減させてしまう面もあります。

そのためリースリング、ソービニヨン・ブラン、ミュスカデなどのようにスッキリとした酸味や爽やかさが命の白ワインを造る場合はMLFしません
まろやかな白ワインにしたい場合はMLFを行ないます
(多くはシャルドネの高級ワイン)

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なお、酸味の程度を測る指標として pH(ペーハー)があります。

pH値の低いワインは酸味が豊富に感じられます(おおむねpH値3.4以下)。
逆にpH値の高いワインは酸味が穏やかになります。

ただし、多かれ少なかれ、
ワインはみな酸味を持っています。

一般の飲み物では、酸味というのはあまり好ましくないものですが、
ワインにおいては酸味はフレッシュ感を出したり味を引き締めたりする重要な役割を果たします。
そのため、造ろうとするワインの酸味をどの程度にコントロールするかが技術的な関心事となるのですね。

(2017年6月16日)