あえて清澄・ろ過をしない ”自然派” ワインにも一長一短があります 〜 ワイン本来の特徴や複雑な風味が保てる反面、色は濁って瓶内で変質するリスクも
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

生産者にとって、自分たちのワインは "自然派" です (あたかも他のワインは自然ではないかのように)とアピールするのは、なんとなくカッコよく見えます。

そのような "自然派" アピールにも、ワイン造りのことを言っていたり栽培方法のことを言っていたりと様々なかたちがあります。

ワイン造りのことを言っている場合は、清澄・ろ過をしていないことで "自然派ワイン" だとアピールしているものが多いですね。

生産者はたいてい、ワイン熟成の最終段階で、瓶詰め前にワインを精製したりフィルターにかけたりします。これを清澄・ろ過といいます。

清澄とろ過について、簡単に復習しておきますと :

・ 清澄
・・・できあがったばかりのワインには不純物がいっぱい残っています。
そこで、ゼラチンや卵白のようなネバネバした物体をワインの中に入れて、この物体に不純物がくっつき、一緒に容器の底に落としていく作業です。

・ ろ過
・・・清澄してもなお残っている微小物を、フィルターにかけたり遠心分離機にかけたりして取り除きます。

こうした工程の目的は、ワインをキレイにすることです。

つまり、瓶詰め後に瓶内でワインに悪影響を与える可能性のある細かな固形物、具体的には酵母の死骸や細菌などの微生物を除去し、品質を安定化させるためです。

しかし、この工程がワインが本来持つデリケートな特徴や風味成分までも取り除いてしまうとの批判もあります。
実際、人為的なテクニックを嫌う一部のワイン愛好家の間では、清澄やろ過を行わないワインのほうが良いワインだと信じている人もいます。

そのため、あえて清澄・ろ過をしないでワインを瓶詰めする生産者もいます。

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ni colle, ni filtre (清澄もろ過もしていない)との表示


◆ノン・コラージュ Non Collage

ワインの清澄を行わないことです。
微細物が残っているのでワインの外観はやや濁りますが、その分複雑な風味のワインになることがあります。

◆ノン・フィルトラシオン Non Filtration

ろ過を行わないことです。
ノン・コラージュと同様にワインの外観の清澄度は低下しますが、複雑な風味のワインになりやすいといえます。

フランスワインのボトルラベルに

non filtre
という表示を見たら、それは「ろ過をしていない」という意味です。

清澄もろ過もしていないワインの場合は
ni colle, ni filtre

(清澄もろ過もしていない)
と書かれています。


そうしたワインはうまみ成分が残りやすい反面、少々濁った外観をしており、酵母や乳酸菌などの微生物がワインに残っているので、瓶内でワインが変質してしまうリスクがあります。

これは難しい問題です。

清澄もろ過も、注意深く行えばワインに弊害をもたらすものではありませんが、
過度にやりすぎると、たしかに微小な風味成分まで除去してしまい、単調な風味のワインになってしまいます。

この辺は、やはりバランスが大事なのでしょうね。。

(2017年6月18日)