フランスワインの仕組みを理解するためにまず知っておきたいこと 〜 フランスワインは「場所の名前」で名づけられ、その産地や畑の「階級」が公的に定められています
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインの産地を規定するフランスのシステム、
いわゆるAOC制度原産地統制呼称制度は1935年に作られました。

このフランスの制度は、他のヨーロッパ諸国におけるワイン法のモデルにもなっています。
加盟国全体に効力が及ぶEUのワイン法(2012年完全施行)の骨格すらも、このフランスの制度を基にして作られたものなのです。

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フランスのワインの仕組み、フランスのワイン法を理解するためには、次の4つのことを知っておく必要があります。
  • フランスワインは、産地名、地域名、村名、畑名など「場所の名前」を名づけられています
    これらの場所は好き勝手に名乗れるものではありません。フランスのワイン法によって認証され、指定されたものです。
  • フランスのワイン制度は「階級的」にできています
    たとえば、Aという場所のワインはBという場所のワインより高ランクだということが、公的に定められています。
  • 一般に、ワインの名前となっている場所が小さければ小さいほど(狭く特定されているほど)、その場所(つまりそのワイン)はより高ランクです。
  • そのワインが法的に高ランクであるからといって、必ずしも他のワインよりも良いとは限りません
    他のワインよりも良い「はずだ」くらいの意味合いです。

    ワイン法はそのワインが生まれた場所の「潜在的な良さ」を評価しているのであって、個々のワインの実際の品質に対する完全な指標というわけではないのです。

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Appellation Volnay Premier Cru Controlee の表示 〜 Volnay は村名、Premier Cru は1級畑 

認証・保護されたワイン産地のフランスワインには、大きく2つのランクがあります。
ラベルに記載されている下記の表示を見れば、そのワインのランクがわかります。

(1) AOC

AOC は Appellation d'Origine Controlee (原産地統制呼称)の略で、
フランスのワイン法が定める最も上のランクです。

d'Origine の部分に具体的な場所名が入っていたり、
(例)Appellation Sancerre Controlee

場所名はラベルのほかの位置に書かれていて
Appellation Controlee
とだけ記されていることもあります。

(2) Vin de Pays または IGP

Vin de Pays ヴァン・ド・ペィは「地ワイン」の意味で、
この表記の後ろに認定地域の名前が表示されます。

IGPは Indication Geographique Protegee
(地理的表示保護)というフランス語の略で、
2012年に完全施行されたばかりのEU新ワイン法に基づく表記法です。

フランスでは 2011年10月までに Vin de Pays からEUの定める IGP への移行を完了しましたが、
それ以前に造られた Vin de Pays と書かれた商品も、まだいくらか流通しています。

Vin de Pays または IGPとして指定されたエリアは通常、AOCの指定範囲よりも広域なエリアです。


もし上記 (1) (2) のいずれもラベルに記載されていなければ、それは「地理的表示のないワイン」
すなわちフランスのどこかで造られた、いわゆる日常消費的ワインということになります。

(2017年6月20日)