クリュ・ブルジョワはお買い得ボルドーの筆頭格 〜 毎年審査の「認証」であるがゆえに格付ワインにも引けをとらない秀逸なワインが結構あります
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

これまでボルドー各地区の格付について述べてきました。
格付ワインは、たとえばメドック1級ともなると1本15万〜20万円くらいになります。
3級〜5級でまだ若いヴィンテージのものでも、やはり一番安くて5千円くらいはします。

でも、格付ワインじゃなくてもお買い得のボルドーはあるのではないか、と思いますよね?


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 ▲シャトー・グロリアは格付されていない



はい、あります。
ヴィンテージ後2〜3年くらいで飲めるお買い得のワインを探してみると、格付もの以外でも面白いボルドーワインが結構あるのです。

その筆頭格として、今回はクリュ・ブルジョワ Cru Bourgeois についてお話します。

クリュ・ブルジョワは、いわばメドックのミドルクラスのワインたちです。

1855年のメドック格付に選ばれなかったメドックの生産者444シャトーが、1932年にボルドー商工会議所等の権威をバックとした「クリュ・ブルジョワ」という準公的な格付を獲得しました。

その後、戦争などもあってシャトー数は激減しましたが、クリュ・ブルジョワのワインは数十年間にわたり、メドック格付に代わるもうひとつの選択肢として信頼される存在でした。

メドック格付のようなブランド性はなくても価格が
明らかにリーズナブルで、メドック格付シャトーの最低クラスのところより品質面で優るワインも少なくありませんでした。

もとよりクリュ・ブルジョワという言葉は、法的な裏づけのある格付としては存在していませんでした。

そこで2000年に農務省はクリュ・ブルジョワの詳細な規定を定めようとする省令を出し、
これに基づきボルドー商工会議所がクリュ・ブルジョワの格付シャトーの見直しに着手しました。

その選定は大変厳しく、格付に応募した490シャトーのうち半分近くが選ばれませんでした。
2003年に計247シャトーが、省令が初めて公的に定めるクリュ・ブルジョワ格付として発表されましたが、78シャトーが選定の際の審判団の公正性に疑義を呈して訴訟を起こし、法廷で激しく争いました。

その結果、2007年に裁判所は「2003年に決定されたクリュ・ブルジョワとその根拠となる省令は無効」との判断を下しました。

これをうけて、生産者団体(クリュ・ブルジョワ連盟)は「格付」ではなく一種の「認証」としてクリュ・ブルジョワを復活させることを発表しました。

このクリュ・ブルジョワ認証はメドックの8つのAOCの生産者を対象とし、認証を得るためには毎年行なわれる第三者機関による品質審査に合格すること等の条件をクリアする必要があります。

この審査・認定はヴィンテージごとに行なわれるので、認定されるワインの数は毎年変動します(収穫の2年後に行われ、毎年9月発表)。

2010年9月に発表された2008年ヴィンテージが初認証で、そのときは243シャトーが認証されました。
2016年9月に発表の2014年ヴィンテージについては、278シャトーが認証されています

その後のクリュ・ブルジョワが示すコストパフォーマンスの良さには目を見張るものがあります。

ぼく自身のワインショップ&バーの現場経験からも、たとえば次のようなワインは秀逸で、もしもいま1855年メドック格付の見直しがあったとしたら、きっと格付されるだろうと思います。

・ Ch. Chasse-Spleen シャス・スプリーン
・ Ch. Poujeaux プージョー
・ Ch. Les Ormes-de-Pez オルム・ド・ペズ
・ Ch. de Pez ド・ぺズ
・ Ch. Potensac ポタンサック

さらに、クリュ・ブルジョワ認証を申請していないワインの中にも、大変良いものがあります。

・ Ch. Gloria グロリア
・ Ch. Sociando-Mallet ソシアンド・マレ

Ch.Gloria はサン・ジュリアン村のシャトーで、しばしばその品質がメドック格付ワインと比して語られるワインです。

上記に挙げた7つのワインは、比較的新しいヴィンテージであれば日本で1本3〜4千円台で購入できます。
ただグロリアだけは、ちょっと高くなってしまいましたね。。1本5〜6千円以上します。

ワインショップやインターネットで探してみてはいかがでしょうか。
掘り出し物が見つかるかもしれません。

(2017年7月1日)