ロワール中部アンジュ&ソミュール地区とトゥーレーヌ地区は、シュナン・ブランの白ワインとカベルネ・フランの赤ワインの名醸地 〜 シノンはしゃぶしゃぶにもよく合います
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

今回はロワール河の中流エリアにあるロワール中部についてです。

ロワール中部は白ワインと赤ワイン、どちらもよく知られています。
白ワインではシュナン・ブラン種が主役です。
おそらく世界で一番、シュナン・ブランの実力を発揮できる産地でしょう。

このロワール中部は、さらに2つのエリアに分けられます。
東側のアンジュ&ソミュール地区 Anjou & Saumur と、
西側のトゥーレーヌ地区 Touraine です。

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●アンジュ&ソミュール地区 Anjou & Saumur

アンジュ&ソミュール地区のうち、アンジュ地区はおそらく世界一すばらしいシュナン・ブランの産地でしょう。

辛口白ワインではサヴニエール Savennieres がとくに有名です。
すぐ近くでは、サヴニエール・クレ・ド・セラン Savennieres Coulee-de-Serrant という独特の白ワインもあります。

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 ▲ニコラ・ジョリが造る
サヴニエール・クレ・ド・セラン


サヴニエール・クレ・ド・セランは、ビオ・ディナミの実践者として知られるニコラ・ジョリ氏が単独所有するわずか7ヘクタールの単一畑AOCです。
非常にボディのしっかりとした濃縮感あふれる白ワインで、粘性が強くハチミツのようなトロリとした舌触りが特徴です。

シュナン・ブランからは偉大な甘口ワインも造られます。

・ボヌゾー Bonnezeaux
カール・ド・ショーム Quarts de Chaume
コトー・デュ・レイヨン Coteaux du Layon

は特に有名なデザートワインです。

一方ソミュール地区はどちらかといえば赤ワインが中心のエリアで、
ソミュール・シャンピニ Saumur-Champigny というカベルネ・フラン種から造られる赤ワインがよく知られています。

●トゥーレーヌ地区 Touraine

トゥール市街をはさんで東西に広がる産地がトゥーレーヌ地区で、周辺ではシャンボール城、シュノンソー城など美しい古城が見られます。

トゥール市街の東側にブーヴレVouvray、モンルイ・シュル・ロワール Montlouis-sur-Loire などシュナン・ブランから白ワインを造る産地があり、
西側にはシノン Chinon、ブルグイユ Bourgueil などカベルネ・フランから赤ワインを造る産地があります。

ヴーヴレは白ワインのみの産地で、シュナン・ブランから辛口と甘口が造られています。
スパークリングワインもあります。

ヴーヴレの辛口はサヴニエールに比べると親しみやすくボディも軽めな白ワインで、若いうちに飲むべきフレッシュなスタイルのワインです。価格も1本2千円以下の手頃なものが多いです。

辛口と言っても、ソーヴィニヨン・ブランから造るサンセールやプイィ・フュメのようなキリっとしたワインに比べるとややふくよかな口当たりですので、鶏肉などの白い肉やクリームソースで料理した肉料理にも合わせられるでしょう。

ヴーヴレの甘口はブドウが非常によく熟した例外的な年にしか造られないため、大変希少です。
高い酸度のため飲み頃を迎えるまで数年を要し、超長期の熟成が可能です。

ヴーヴレでこれほど多様なワインが造られるのは、この産地周辺がちょうど海洋性気候と大陸性気候のせめぎ合う境界エリアで、毎年の気候変動が非常に大きいためだといわれています。

シノンはトゥール市街の西側に位置し、赤ワインの産地として有名です。
シノンでは白もロゼも造られていますが、9割以上が赤ワインです。
カベルネ・フランから果実味と酸味の豊かなミディアム・ボディの赤ワインが造られます。

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 ▲しゃぶしゃぶ店で注文したシノン


この周辺にはシノンのほかにもブルグイユ、サン・ニコラ・ド・ブルグイユといった赤ワインだけを造る産地もあります。
いずれもカベルネ・フランから造られる、口当たりの柔らかいミディアム・ボディの赤ワインです。

カベルネ・フランのワインは1本1500円〜4千円くらいです。
タンニンが強くなく、果実味と酸味が主体なので、日常的な食事全般に合わせやすいワインです。

カベルネ・フランの赤ワインには少々青っぽい野菜のようなニュアンスの香りがあるので、野菜を伴うあまり味付けの濃くないお肉料理、それこそ白菜を使う日本のしゃぶしゃぶなどには大変よく合うと思います。
実際ぼくは、しゃぶしゃぶ店でシノンの赤ワインを合わせて楽しんだことがあります。

機会があれば、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

(2017年7月26日)