トレンティーノ・アルト・アディジェ州はもともと南北別々の地方 〜 アルト・アディジェ地方のラグレイン、トレンティーノ地方のトレントが今後注目です!
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

イタリアを訪れたり歴史の本を読んだりすると、
イタリアというのは(少なくとも精神的には)完全にひとつに統一された国ではなく、
それぞれ個性を持った20以上の地域が、政治的事情からくっついてできた体制なんだなぁ・・・と思うときがあります。

トレンティーノ・アルト・アディジェ州も、そんなことを想起させる州のひとつです。

イタリア最北にある山の多いこの州は、イタリアの他の地域とは大きく異なるばかりか、
州内をみても北側と南側ではまったく違うのです。

北側のアルト・アディジェ南チロルとも呼ばれる地方で、人々は主にドイツ語を話します。
南側のトレンティーノの人々はイタリア語を話します。

ちなみに第一次世界大戦までは、南チロルはハプスブルク家が支配したオーストリア=ハンガリー二重帝国(1867年〜1918年)の一部だったのです。

ですからトレンティーノとアルト・アディジェはもともと別々の地域で、ワインのタイプも異なるのですが、行政上はこの2地域はひとつの州として扱われています。

北のアルト・アディジェ地方では白ワインと赤ワインを造っています。
たいていブドウ品種名がラベルに記載されています。

アルト・アディジェ地方は、すぐ隣で「イタリア白ワインの聖地」と呼ばれるフリウーリ・ヴェネツィア・ジューリア州と並ぶ、良質の白ワインを造る産地として知られています。

白ワインはピノ・グリージョ、シャルドネ、ピノ・ビアンコ、ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミネールのほか、ケルナー、ミュラー・ドゥルガウといったドイツ系白ブドウも用いられています。
きれいな酸味を伴う「北らしい」タイプの白ワインを産出します。

赤ワインの輸出はほとんどがドイツ、オーストリア、スイス向けですが、日本でも手に入ります。
ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)などから赤ワインが造られていますが、
注目したいのはラグレイン Lagrein という土着品種です。

lagrein2010
 ▲ラグレイン

ラグレインの赤ワインはなかなか面白いワインです。
イタリアの中では高緯度、高標高にあるわりには気温が意外に温暖なため、想像よりも色や香り、口当たりのふくよかなワインになります。

ぼくが以前飲んだときにメモしたテイスティング・コメントを見ると、

中心部が黒ずんだ濃いルビー、
香りのボリューム強い、
カシス・ブラックベリー、黒系果実、リキュール感あり、黒コショウ、ナツメグ、バラ?
厚みあり、色が濃いわりにタンニンまろやか、全体に豊満な果実味

と書いてあります。
ややスパイシーで、香りのしっかりした、比較的コクのある赤ワインなのですね。
日本では1本3千円〜4千円くらいのものが手に入ります。

南のトレンティーノ地方も白ワインと赤ワインを造っていますが、
近年ぐんぐん伸びているのがDOCトレントのスパークリングワインです。

トレント Trento はシャルドネ中心で造られる、シャンパーニュと同じ方式(瓶内2次発酵)のスパークリングワインで、
ロンバルディア州のフランチャコルタと並びイタリアを代表するスパークリングワインと呼ばれるまでになっています。

1本2千円くらいから、良質のものになると4千〜5千円くらいのものもあります。

フランチャコルタがどちらかというと果実味中心なのに対して、トレントはミネラル感に富むキリッとした味わいです。
状況や気分に応じて使い分けられたらオシャレですよね!

(2017年8月17日)