ヨーロッパのワインに対して非ヨーロッパのワインのことを 「新世界ワイン」といいます 〜 伝統に縛られない「自由」こそが新世界のワインの共通項です
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

1492年に新大陸を目指して航海に発ったコロンブスのように、生産者が自分の好きなブドウを育て、思うようにワイン造りができる "希望の地" へ、ぼくたちも旅立ってみましょう!

というわけで、今回からしばらくの間、世界のワイン市場において大きな役割を占める非ヨーロッパの国々、すなわちオーストラリアニュージーランド南アフリカチリアルゼンチンアメリカ合衆国について書いていこうと思います。

columbus
 ▲コロンブス(1451年頃 - 1506年)


南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカのワインの共通点は何でしょうか。

ひとつだけ挙げるとすれば、これらの国々はいずれもヨーロッパではないということです。
これらのワインはヨーロッパで造られたワインではありませんので、「非ヨーロッパのワイン」と呼ぶことができるでしょう。

こうした非ヨーロッパのワインをひとくくりに指す言葉として最もよく使われているのは
「新世界」「ニューワールド」
という言葉です。

この言葉は、かつてのヨーロッパの植民地主義とつながっていることはいうまでもありません。
もとはといえば、新世界のワインは、その地に入植したヨーロッパ人によって造られはじめたのです。

ヨーロッパは伝統的なワイン産地で、世界のワイン生産量の6割以上を占める産地です。
ヨーロッパ以外のワインは全て「新世界のワイン」と括ることができます
(日本などアジアのワインは除きます)

初めて「新世界のワイン」という表現を聞いたとき、ぼくは正直バカバカしいと思いました。
なぜならカリフォルニアとオーストラリアとチリみたいに、あんなに距離の離れた産地をひと括りにして言うなんて、どうしてできるんだろうと思ったからです。

しかし、そのことについて考えているうちに、なんとなく見えてきたものがありました。

伝統的ワイン産地であるヨーロッパでは、千年単位の非常に長い間わたって、ブドウ栽培とワイン造りの方法が慣習化、規則化され、細かな規制や法律という形に落とし込まれてきました。

どの丘のどの斜面にブドウを植えるか、そこではどのブドウ品種を育てなくてはいけないか、辛口か甘口か、甘口ならどのくらいの残糖分が必要か、等々・・・。

これらの決定は、現在の生産者のおじいさんのおじいさんのそのまたおじいさんの・・・とにかく長い長い昔になされて継承されてきたものです。

しかし新世界では、ブドウ栽培やワイン造りのやりかたに関して伝統の縛りがありません
ワイナリーのオーナーは、どこにブドウを植えるか、何のブドウ品種を育てるか、どのようなワインを造るか、自分でそれを決めることができたのです。

そのように考えていくと、新世界のワインみな、「自由」というものを共通項として持っているのです。
この自由さこそが新世界ワインに共通して見られる類似性なのです。

ですから、一応このように結論づけることができるでしょう。
新世界ワインは、ワイン造りの精神面においても、現実の法律面においても、ワインのスタイルにおいても、ヨーロッパ世界のワインとは異質な、ひとつの大きなカテゴリーであると。

新世界ワインは伝統に縛られた取り決めや決まり事はほとんどなく、ワインを選ぶのも、ラベルを読み解くのも、ヨーロッパのワインに比べると非常にシンプルです。

次回からオーストラリア、ニュージーランド、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、アメリカ合衆国のワインについて書いていきます。
すべて書くのに、たぶん1ヶ月以上かかると思いますが、どうぞお付き合いください。

(2017年9月19日)