オーストラリアは全ワインの8割を大手が造る寡占市場で、イエローテイルだけで全ワイン生産量の約1割を占めますが、現在は個性的なワインへのシフトも進んでいます
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

オーストラリアは有力なワイン生産国のひとつで、世界中で大きな成功を収めています。

どちらかというとワイン大量生産の国ですが、技術レベルは高いです。
オーストラリアのワイン産業は技術的には世界で最も先進的な部類に入り、かつ進取の精神に富んでいます。

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 ▲「イエローテイル」ブランドだけでオーストラリアの全ワイン生産量の1割近くを占める


オーストラリアには土着のブドウ品種はありません
ワイン用のブドウの木は、1788年にヨーロッパ人によって持ち込まれました。

歴史的には、昔のオーストラリアのワインは濃い甘口で、アルコールで酒精強化されたものがほとんどでした。
しかし今日では、オーストラリアワインはフレッシュで果実味に富み、風味の豊かな赤ワイン、白ワインで有名です。

オーストラリアのワイン生産量は世界で7番目ワインの輸出量は世界で4番目です。
オーストラリア大陸はアメリカ合衆国とだいたい同じ大きさですが、生産量はアメリカの半分よりちょっと多い程度です。

オーストラリアには約2千のワイナリーが存在します。
これらのワイナリーの多くは小さな家族経営の会社です。

しかしオーストラリアのワイン産業は、全生産量の8割が大手ワイナリー20社によって生産されているという寡占市場になっていることが特徴です。

Foster's、Hardy's、Jacob's Creek、Yellow Tail などの大量生産ワインのブランドは世界中どこにいっても、スーパーやディスカウントショップなどでも売られているポピュラーなブランドです。

とくに Casella Wines社のブランドである Yellow Tail イエローテイルだけでオーストラリアの全ワイン生産量の約10%全輸出量の約15%を占めています。

こうしたお手頃価格のワインの売上は、2000年代中頃に至るまで約20年にわたって成長し、オーストラリアワインに対する世界的な認知度を劇的に高めてきました。

しかしこうした "成功" はやがて、過剰生産や低利益な経営体質を招きました。
経営悪化でブランドを手放したり、会社のワイン部門を他社に売却したりする動きも見られるようになりました。

オーストラリアのワイン産業は今、大量生産に頼るだけでなく、生産量は少なくても個性のあるワインや、ユニークな産地に目を向けるようになっています。

そのような流れを経て現在は、オーストラリアが提供できる多様なワインを探求するには、非常に面白い時代になっています。

そんなエキサイティングなオーストラリアのワインについて、何回かに分けて見ていきましょう。

(2017年9月21日)