チリのワインはいまや日本で輸入量が最も多いワインです 〜 チリの地理的隔離性は害虫フィロキセラの侵入を防ぐなど、ブドウ栽培において大きなアドバンテージとなりました
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

チリ産のワインは、いまや日本で輸入量が最も多いワインです。
財務省の貿易統計(通関ベース)によると、2016年のワイン輸入量でチリ産が2年連続1位となっています。

1990年代には国内輸入ワイン市場でシェアが1%未満だったチリワイン。
それが現在では、日本のワイン輸入量で長年1位・2位を独占してきたイタリア産・フランス産を抑えて堂々1位となっているのです。

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チリのワインは一般的に「新世界」ワインに括られます。
しかしチリのワイン生産者たちは、「新世界」などと呼ばれることを、本心では不本意に思っているはずです。

スペインからの植民者たちがチリに最初にブドウ畑を拓いたのは、16世紀半ばに遡ります。
以来この国は、チリ国内向けに何世紀にもわたってワイン産業の繁栄を維持してきたのです。

だから、彼らにとっては「新」しいことなど何もないのです。 

とはいえ、外国のワイン愛好家にとってはチリワインはやはり「新」しいのです。

1980年半ば頃からの輸出市場におけるチリワインの成長はきわめて急速でした。
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネといったフランス品種の採用と成功も、あっという間の出来事だったといえます。

また、ほとんど忘れ去られていたボルドー品種であるカルメネーレもチリでは明らかに成功しており、いまではチリの土着品種的な扱いさえされています。

一方、チリワインにはさらに新たな姿も生まれています。

チリでは伝統的なエリアから周縁エリアに産地が
どんどん拡大しており、
新しい産地ではフレッシュでさわやかなタイプの白ワインや、これまで以上にパワフルな赤ワインなど、従来チリにはなかったスタイルのワインも出現してきているのです。

西側に太平洋、東側にアンデス山脈を頂くチリは、地理的にはかなり隔離された土地です。
こうした地理的隔離性は、ブドウ栽培においては大きなアドバンテージとなりました。

根に寄生してブドウの樹をダメにしてしまう害虫フィロキセラはヨーロッパをはじめ多くのワイン生産国を苦しめましたが、チリはフィロキセラから守られた土地なのです。

そのため他の多くのワイン生産国とは異なり、チリのブドウの樹はいまでも自分の根で育つことができます(ヨーロッパでは自根は珍しく、ほとんどが接木しています)。

ブドウ栽培の点でチリがさらに恵まれている点は、国土が長距離にわたって太平洋に面しているおかげで比較的暑い気候が和らげられることと、海岸沿いの山々が海の湿気を遮断し多くのブドウ畑を守ってくれることです。

チリでは赤ワイン用の黒ブドウが約7割を占め、カベルネ・ソーヴィニヨンが黒ブドウの約半分を占めています。
次いでメルロー、カルメネーレが主力です。

白ブドウではシャルドネとソーヴィニヨン・ブランがほぼ同じくらいの重要品種となっています。

次回から何回かに分けて、チリのワインと産地について述べていきたいと思います。

(2017年10月1日)