カリフォルニアのワイン生産者たちは真っ先にテロワールよりもブドウ品種に焦点を当て、「新世界ワイン」というカテゴリーのフロンティアを切り拓いてきました
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

アメリカのワイン、とくにカリフォルニアのワインは、新世界における「ワインに対する考え方」のエッセンスとなっています。
カリフォルニアの生産者たちは、育てたいブドウ品種を好きな場所に植えて、自由にワインを造ります。
異なる地域のワイン同士でも、自分たちの思うままにブレンドします(ブレンドに関しては一定の法的規制がありますが)。

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 ▲カリフォルニア大学デーヴィス校

カリフォルニアワインは、「ブドウ品種」というものを一躍スターダムにのし上げました。

カリフォルニアがワインをブドウ品種名で呼ぶようになるまでは、カベルネ・ソーヴィニヨンもシャルドネもメルローもピノ・ノワールも、いわばワインの材料として裏方的な存在でした。
しかし、アメリカをはじめ新世界のワイン生産国では、いまではブドウ品種こそがワインそのものを示す要素になっています。

あるブドウ品種から造られたワインはどれも同じというわけではありません。
消費者からどれも同じだと思われないように、少なくともマーケティング的には、カリフォルニアの生産者は自分の造るワインに独自の "ひねり" といいますか、創造的な解釈を加えて表現するアーティストか映画監督のように振る舞うようになりました。

彼らがつくるカリフォルニアワインの "シナリオ" においては、土地(いわゆるテロワール)はしばしば二次的な役柄にとどめられます。

もちろん時がたつにつれて、カリフォルニアの生産者たちも「ブドウ畑の場所がワインのキャラクターの重要部分である」というヨーロッパのテロワール的な考え方を採り入れるようになりましたが、それもほぼ上級ワインに限ってのことです。

多くの生産者の視点はやはりブドウそのものに向けられており、いかにそのブドウ品種の持つ果実的な味わいを引き出したワインを造るか、という部分への工夫や努力が重ねられてきました。

アメリカのワイン生産者は、より果実味のしっかりしたワインを造るために、研究機関が持つテクノロジーも進んで利用してきました。

カリフォルニア大学デーヴィス校とカリフォルニア州立大学フレズノ校は、ワイン造りの分野で重要な教育研究機関です。
とくにカリフォルニア大学デーヴィス校はワインの科学的研究において世界的にも高名な存在であり、ヨーロッパのワイン生産者さえも、ここで学ぶためにカリフォルニアに留学に来るほどです。

カリフォルニアワインこそ、商業面でも研究面でも「新世界ワイン」という新たなカテゴリーを切り拓いてきた、フロンティアスピリットあふれる先駆者だと言えるのではないでしょうか。

(2017年10月15日)