泡のあるワインはスパークリングワイン 〜 一番有名なのはシャンパーニュですが、フランスのシャンパーニュ地方で造られたものだけが名乗ることができます
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

ワインの世界地図でスパークリングワインはいわば太陽みたいなもの・・・どこに行っても目にすることができます。
ワインを造っている国はみなスパークリングワインも造っています。

スパークリングワインは味わい、品質レベル、価格帯もピンからキリまで幅広く存在します。
なかでもフランスのシャンパーニュ地方で造られるシャンパーニュは最も輝けるスターだといえるでしょう。

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 ▲KRUGはとても重厚なシャンパーニュ

スパークリングワインが他のワインと違う点は、ワイン中に泡(炭酸ガス)が存在することです。
ほとんどの国のワイン法において、「スパークリングワイン」と公式にみなされるためには、こうした泡はアルコール発酵から生じる自然の副産物でなければなりません。

多くのワイン産地では「スパークリングワインも造っている」というのが普通で、スパークリングワインは通常のワインの付随的な位置づけに過ぎません。
しかし スパークリングワインが主体である産地もあります。

その頂点にあるのが、フランスのシャンパーニュ地方ですね。
そのほかにもイタリアのアスティ、プロセッコ、フランチャコルタなどの生産地域、スペイン北東部のカバの生産地域がそうです。
カリフォルニアにも一部、スパークリングワインが主体である地域が存在します。

一般にスパークリングワインの産地はとても冷涼な気候で、通常のワインを造るにはブドウの成熟度が不十分となりやすい地域が多いです。
こうした地域のブドウで普通にワインを醸造しようとすると、酸がきわめて高く、すっぱくて線の細いものとなりがちで、赤ワインの場合には色も十分に出てきません。

しかしスパークリングワイン造りの特別な工程(シャンパーニュ地方などで実践されている「伝統方式」という製法)が、不利な気候条件をむしろ長所に転換します。
いわば "みにくいアヒルの子" を "美しい白鳥" に変えてしまうのです。

フランスのシャンパーニュがスパークリングワインの雄だといえるのには、いくつかの理由があります。

1) シャンパーニュは世界で最も有名なスパークリングワインである
・・・ワインを飲む人でなくても、「シャンパン」と聞けば泡のお酒を思い浮かべるでしょう

2) 上質なスパークリングワインを造るための特別な技術がシャンパーニュ地方で完成された
・・・伝統方式とか瓶内二次発酵方式と呼ばれる技術です

3) シャンパーニュは世界のスパークリングワインの中で秀逸であるだけでなく、世界のワインの中でも卓越していること
・・・シャンパーニュには高級なイメージがあり、実質的にも上等なワインです

EUの法律では、フランスのシャンパーニュ地方で造られたものだけが「シャンパーニュ」という名称を使用することができます。
しかしアメリカに行くと、シャンパーニュ地方のものではないスパークリングワインのラベルにも「シャンパーニュ」という言葉を見かけることがあります(この用語の使用に関する規制は厳しいにもかかわらず)。

このような商品は味もシャンパーニュとは程遠いもので、シャンパーニュと同じ製法すら採用していません。
シャンパーニュを造るには2〜3年を要するのに対して、こうしたニセモノはたったの2〜3ヶ月で造れるので、コストもかからず商売としては美味しいのでしょう。

「シャンパーニュ」という言葉を使えばシャンパーニュが持つ名声にタダ乗りできて売りやすいのでしょうし、
そのせいで消費者の側も、泡のあるワインのことをなんでも「シャンパーニュ」とか「シャンパン」と呼んでしまう傾向があります。。

ワインを学んでいるぼくたちは、「シャンパーニュ」という名前はフランスのシャンパーニュ地方で造られたものに対してのみ、使うようにしたいものですね。

(2017年11月7日)