スパークリングワインは2回の発酵を経て造られます 〜 二次発酵を大型タンクの中で行うシャルマ方式と、一本一本瓶の中で行う伝統方式があります
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

どんなワインを造る際にも、発酵によって酵母が糖分をアルコールに変化させるとき、自然に生じる副産物として炭酸ガス(二酸化炭素)が発生します。

もし発酵が密閉された容器の中で行われると、炭酸ガスは空気中に逃れることができません。
他に行くところがないので、その炭酸ガスが「泡」という形でワインの中に閉じ込められてしまうわけです。
これがスパークリングワインの泡の正体です。

ほとんどのスパークリングワインは実際には2回の発酵を経て造られています。
ひとつめは、ブドウ果汁を泡のない普通のワイン(「ベースワイン」と呼ばれます)に変化させる発酵です。
ふたつめは、ベースワインを泡のあるワインに変化させる発酵です(一般に「二次発酵」と呼ばれています)。

二次発酵を引き起こさせるために、スパークリングワインの生産者は、ベースワインに酵母と糖分を添加する必要があります。
その添加された酵母が添加された糖分を食べて、再度アルコールと炭酸ガスに分解するわけです。
この酵母と糖分を添加する工程を「ティラージュTirage といいます。

二次発酵から先は、ゆっくりと時間をかければかけるほど、そのスパークリングワインの複雑味は増し、値段も高くなっていきます。
造るのに10年をかけるスパークリングワインもあれば、2〜3ヶ月で造られるスパークリングワインもあります。
ゆっくりと時間をかけて造ったスパークリングワインには1本1万円を超えるものもザラにありますが、後者のようなスパークリングワインでしたら、探せば1本500円くらいのものも見つかるでしょう。

スパークリングワインの造り方にはいくつかの方法がありますが、たいていのスパークリングワインは、
(1) 二次発酵を大型タンクの中で行う(シャルマ方式)か、
(2) 二次発酵を1本1本瓶の中で行う伝統方式)か、
どちらかの方法で造られています。

今回は(1)の「二次発酵を大型タンクの中で行う」方式について述べましょう。

最も早く、最も効率的にスパークリングワインを造る方法は、密閉された大きな加圧式タンクの中で
二次発酵を行うことです。
これは、(2)の伝統方式で最も手間のかかる瓶内での二次発酵とその後のオリ抜きの工程を簡素化したもので、低コストでのスパークリングワイン製造が可能な方法です。

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 ▲シャルマ方式の加圧タンク

この工程を推進したフランス人 Eugene Charmat氏の名から一般に「シャルマ方式」と呼ばれます。
英語では bulk method(大量方式)とか tank method(タンク方式)とも呼ばれますが、そのほうがイメージが伝わりやすいかもしれませんね。

シャルマ方式で造られたスパークリングワインは通常、いちばん安価な部類のものとなります。
その理由は、大量生産でき、ブドウ収穫後まもなく販売できるからです。
もうひとつ理由を挙げるとすれば、シャルマ方式のスパークリングワインによく使われるブドウ(シュナン・ブランなど)は通常、伝統方式のスパークリングワインによく使われるピノ・ノワールやシャルドネに比べて原価が安いことが多いからです。

シャルマ方式はおおむね次のような工程となります。

.戞璽好錺ぅ鵑謀分と酵母が添加し、2次発酵を起こさせます。
密閉され内部が加圧されたタンクと低温のおかげで、発酵により生じた炭酸ガスがワインの中に閉じ込められます。

⊂綉,侶覯未箸靴董▲戞璽好錺ぅ鵑茲蠅盥皀▲襯魁璽訶擔瑤凌標スパークリングワインが生まれます。
それを圧力下でフィルターでろ過し、残留した酵母の死骸(オリ)を一気に取り除きます。

I啜佑瓩垢訌阿法風味調節のために、造ろうとするスパークリングワインのスタイルに応じて甘味成分が加えられます。

上記 銑までの工程は数週間で終えることができます。
二次発酵後、ろ過するまでの間、数ヶ月くらいかけてワインを休ませる場合もありますが、それはシャルマ方式の場合は例外的といえるでしょう。

次回は(2)伝統方式について説明します。

(2017年11月19日)