シャンパーニュなどの伝統方式でとくに重要な工程がアッサンブラージュ 〜 百種以上のワインを調合して最良のベースワインを編み出す非常に難易度の高い作業です
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バイザグラスのソムリエ松沢裕之です。

シャンパーニュ造りで行われている伝統方式は、実際には瓶内二次発酵の前にいくつかの工程があります。

たとえば、果汁を得るためにブドウの実を圧搾する工程は、非常にていねいに注意深く行う必要があります。
果皮由来の苦味が出たり、黒ブドウの場合は果皮の色が混じったりするのを防ぐためです。

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 ▲アッサンブラージュ

もうひとつ、品質面で決定的に重要な役割を果たす工程は、二次発酵させるベースワインをつくるために様々なワインをブレンドすることです。
これはアッサンブラージュ assemblage という工程で、造ろうとするシャンパーニュのベースワインとして最も良い調合を編み出す、とても難易度の高い作業です。

シャンパーニュハウス(シャンパーニュ製造業者)は、異なるブドウ品種、異なるブドウ畑から造った何百種類ものワインを準備しています。 
最良のベースワインを創り出すために これらのワインを様々な比率で調合して検証します。

このとき、リザーヴワイン(わざと残しておいた過去のヴィンテージのワイン)を加えたりもします。
ひとつのベースワインをつくるために100種類以上の異なるワインが用いられることも珍しくありません。
それぞれのワインが持つ特徴が複雑に重なり合って、ベースワインに独特の性格をもたらすのです。

このアッサンブラージュの工程がとりわけ難しいのは、未来に焦点をあてて作業を行わなければならないことです。
「いま味わう」ためのブレンドではなく 「数年後それがスパークリングワインとしてどのような味わいになるか」を想定しながら調合する必要があるのです。
アッサンブラージュを巧みに行う技術者は、まさにワイン界の芸術家だといえるのではないでしょうか。

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 ▲アッサンブラージュの作業

さて、シャルマ方式と伝統方式の味わいの違いについて触れておきましょう。

シャルマ方式で造られたスパークリングワインは伝統方式のものよりも果実味が前面に出やすいです。
シャルマ方式のように大型タンクで二次発酵を行う製法のほうが、ブドウがワインになるまでの道のりが、瓶内二次発酵の場合よりも短いからです。

そうした違いを熟知した上で、フレッシュ&フルーティなスパークリングワインを造るために、あえてシャルマ方式を使っている場合もあります。
イタリアのアスティやプロセッコなどのスパークリングワインはその好例です。

シャルマ方式で造られるスパークリングワインは熟成させるよりも、果実味がよく出ている若いうちに飲んだほうが美味しいでしょう。

いっぽう伝統方式すなわち瓶内二次発酵方式は、シャルマ方式ほどには果実味を強調しないスパークリングワインとなります。
ワインがオリと接触しながら発酵することから生じる化学的変化によって果実味は相対的に減少し、そのかわりにトースト、ナッツ、イーストのような香りや複雑な風味が醸成されます。

口当たりもシャルマ方式のものと比べると、なめらかでクリーミーなニュアンスとなります。
泡はより微小となり、口中でもシャルマ方式のスパークリングワインほどには炭酸っぽさを感じなくなります。
伝統方式で造られたスパークリングワイン、とくにシャンパーニュの中には長期熟成も可能なものが多くあります。

シャルマ方式と伝統方式のこうした特徴を意識しながらいろいろなスパークリングワインを飲んでみると、違いが体感できて面白いと思います。

(2017年12月1日)